CULTURE 5 「儀式」


「トラディショナルなインディアン」の信仰は他の多くの宗教と異なる。
お金を払ってもとってもいけない。
撮影は何があっても、どんな事情でも許されない。
メモをとる、スケッチをするなど記録をとるあらゆる行動もゆるされない。
儀式によっては生理中の女性は入れない。


もしテレビ、雑誌などでインディアンの儀式が伝えられるとしたら、
それはインチキか、トラディショナルでないか、ただの茶番だ。
残念ながらお茶の間の興味本位に公開される程安易なものではない。
そういった番組、記事があるとすればたいてい
インディアンに何らかの報酬を支払い、
してやられている。
でも、知らない人が見るぶんには解らないからいいだろう。
この場合あとで騙されたというほうが、ただ間抜けなだけ。
ある番組で芸能人と取材班はある部族のメディスンマンに言われるまま、
どこどこの部族の誰々に会って話を聞くためアメリカ西部をたらい回しにされた。
いざそのメディスンマンのもとに戻り
いよいよ答えがもらえる_と、その答えは、
『あなた方は長い旅をして、いろいろ話を聞いてきただろう、
だからもう我々の言いたいことくらい言わなくてもわかるだろう』なようなことを言われていた。
番組は大袈裟なナレーションと解釈のコジ付けで何とか形になっていたが
食わされたなと、見てて爽快になった。
コヨーテの技だ。


「トラディショナルなインディアン」は
自分の文化の最も重要な部分に値段をつけて売ったりしない。
気骨のある気高い人たちだ。


よく観光客相手に
儀式をコーディネイトしたり、名前を授けるプログラムを用意しているようだが、
それは一種サマーキャンプの肝試しみたいなもので、
ある程度のロマンスは認めるが「トラディショナル」ではない。
それを知っていたから僕は、何のインフォメーションも持たずにアメリカに渡って、
「トラディショナルなインディアン」に拾われるのを待った。


インチキインディアンも多く存在する。
ある時日本にインディアンが来たのであいにいった。
会場でダンスを披露して、みんなで祈りを捧げた。
ショウアップされたステージに面喰らったが、
イベントだからと理解しようとした。
数年後、その人がアメリカ国内で
インチキインディアン詐欺として摘発されているのを知った。
生臭さは本物だったわけ。

僕は、僕ごときは、日本にいるときに
インディアンの儀式を披露したりはしない。誤解がこわい。
ある種の簡単な儀式はやりかたもならってるし、
家族にも日常的にやるように進められている。
自分自信責任のとれる範囲ではする。
でもその範囲はとても狭い。


つづく だろう。

CULTURE 6「スピリット」