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CULTURE 10
「メディスン」
メディスン
インディアンにはつきものの言葉だ。
メディスン=
medicine
=薬
言うまでもなく御覧の通りの「英単語」で日本語にすると「薬」。
ところがインディアンにまつわるメディスンは「薬」ではない。
否、「薬」の意味も一部含まれるが、もっと多くをフォローしている単語だ。
そしてもちろん、多くの言葉の違う部族によって違う単語で表現される。
使われ方は様々で、慣れないと困惑するかも知れないが、
覚えるととても便利な単語でもある。
インディアンをはじめネイティヴピープルの「医者」は
科学的な知識で野草の薬としての効能を研究して知ったわけではない。
経験上だ。
彼等は野草の薬草としての効能を「よく知るひと」として知っていて
病気の治療などに使った。
現代のように科学的に理解できる時代ではない、生き方も違う。
その理解は例えば、
『胸が不快なときはこの草を噛むとすっきりする。
この草には不思議なちからがある。
創造主が与えられた偉大なる不思議のちからだ。』
この「不思議な(ちからを与えられた)草」を近代の英語文化圏の人たちが
「薬効を持った草」と理解して「薬草=メディスン」と訳したわけ。
ところがメディスンは薬草というそれだけではない。
「メディスン」が意味するのは
「薬効をもつ草」の「薬効」ではなく、
「不思議な(ちからを与えられた)草」の『不思議』の部分だからだ。
「メディスンマン」「メディスンウーマン」「メディスンピープル」
薬草をはじめとした不思議なちからを持つものを扱うひとたちのことをそう呼ぶ。
スペイン人の連れてきた馬(もともとアメリカ大陸に馬はいなかった)を、
大きく強いからだで人の生活を助ける、偉大なちから=不思議なちからをもった犬として
「メディスンドッグ」と呼んだ。
始めてテレビを見たインディアンはテレビを
「メディスンボックス」と呼んだとか___。
こういう使用例は枚挙に暇がない。
この先書き進むうちにいくつも出てくると思う。
CULTURE 11「男女平等」