EPISODE 13 「ビバ ラスベガス1」


10年くらい前のある日、
材料を買いにニューメキシコに出かけようとしていた前日、
バズが
『ス-パイ族のリザべーションで今夜、レゲエのライブがある。
Tシャツを売りに行くから手伝いに一緒に来いよ。
真夜中からライブだから、
終わった後は近くのラフリンのカジノでギャンブルして朝を待って、
それから帰ってくる。楽しいぞ。』
「そりゃ楽しいだろうけど、俺は仕入れに行かなきゃ」
『どうせツーリストスタイルの材料しかありゃしねぇって、
そんなのいつ行っても一緒だ』
(まぁ、そうでもしなきゃカジノなんて行かないな)、
そう思って、いい機会だからとOKした。


夜、バズの家に行くと
刑務所から出所したばかりの弟ライノのピックアップが停まってる。
しかも段ボール満載で。
いやーな予感がした。


ライノは悪人ではない。
ただ、かなりこわれてる。
飲んで飲んでこわれて飲んで警察に捕まって服役するまで飲みまくったってとこ。
別に飲んで暴れるわけじゃない。
とにかく陽気で、テンションの高い楽しい奴だ。
だから、まずいんだ。


案の定、ライノもいっしょに行くらしい。
ライノのピックアップの段ボール箱はやっぱりバズのTシャツだった。
ライノはすでに、というよりずっと酔っぱらってるので、
子供のようにはしゃいで楽しそうだ。
テキーラ6本とオレンジジュース、それとぺリエ1ダース、コロナ4ダースとライム、
大型のアイスボックスと氷を積み込んでいざ出発だ。
なんでそんなに持ってく? おめぇらどこ行く気だ?
「あぁ、だめかもしんない」
ライノの小型ピックアップはインディアン2+縄文人1を乗せて闇の中に消えたとさ。


EPISODE 14「ビバ ラスベガス 2」