NATIVE SPIRIT
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EPISODE 16
「ビバ ラスベガス3」
昼を過ぎるころ、
寝ずにカジノをハシゴしてギャンブルに講じ、
空腹の感覚も、むねのむかつきで鈍ったバカ三人は、
ただでもらえるサービスのホットドックをかじりながら、
フロアを出て、駐車場に向かった。
真昼のネヴァダの太陽は
その時の僕らには黄色く、
懺悔を強いるように強く照りつけていた。
ピックアップトラックの中は異常に高温となり、
してないことを自白したり悪くないのに謝ったりしてしまいそうだ。
サードディグリーってやつだな。
乗る前にドアと窓とゲートすべてを開け放して、空気を入れ替える。
ライノはアイスボックスを開けて、楽しそうにテキーラサンライズをシェイクしている。
(この野郎いつかなぐってやる。)
さらにライノは自分の荷物をあけてちゃっかり新しい
T
シャツに着替えてやがる。
(2発殴ろう)
しかし、そう思う僕もどうでもよくなってきている、
ここを出て半日走れば家につけるんだ。
車の空気を入れ替える間、3人はバラバラの話題をまき散らしていた。
「あ~、シャワー浴びたい」「腹減った」「氷買わなきゃ」「気持ち悪い」「ベッドで寝たい」「疲れた」
「休もう」「妹のとこ寄るか」「ベガス、いいねぇ」
『
ベガス!? ちょっと待て、今何の話してた?』
「というわけで、俺たちはこれからベガスにいる妹たちに会いにいくことにする」
とぼけた顔でバズが言う。
『どうゆうわけだよ、俺はどうするんだよ?』
「いっしょに行くしかないだろうな~、たぶん」
「な~、気楽にいこうぜ兄弟」
『兄弟って呼ぶな!』
反対はしてみたものの理不尽な民主主義でベガス行きは決まってしまった。
砂漠を抜けて、夕方、まだネヴァダの陽は高いころ、
僕らの車はベガスの市街地を走っていた。
それまでの風景はただの砂漠としか覚えていない。
市街地で西日に照りつけられて目をさましたんだ。
身体は固まるし汗をかいて
あの不快な状態で見たベガスのどこかの交差点の風景が焼き付いて離れない。
市街地から住宅地に入り
アパートメントの駐車場に車を停めた。
妹一家の住む部屋がある、らしい。
車から荷物を降ろして歩き出すと、初老の紳士とすれ違い様軽い挨拶をもらう。
するとバズ、すれ違いながら、
「ヴィーヴァ、ラースヴェーガス!!!」
「ヴィヴァラスヴェガスか、そいつはいい、ラスベガスへようこそ!」
ヴィヴァ ラスベガス
エルビスの曲のタイトルでもある。
ヴィヴァ、、、なかなか言わないな。
死語かも、、、。
とにかくそんなこと言う奴は
時代遅れの、浮かれた脳天気野郎しかいない。
バズだから、そのとおり、仕方ない。
つづく
EPISODE 18「ビバ ラスベガス4」